漫画版が話題の「君たちはどう生きるか」の元になった本の読書感想文の続き。
その1…人間の成長過程を天体の動きになぞらえること、人生消費するだけじゃないんだよ、生産することも考えよう。のこと↓
君たちはどう生きるか 読書感想文その1 - ひろこの自由研究
いじめ現場で何もできなかった自分…
主人公のコペル君は4人組で遊んだりしていることが多いのだが、そのなかで誰かがいじめられたりすることがあったら、お互いに盾になる。なる誓いをする。
…で、そのお互いが盾になる場面がやってくる。仲間のひとりが上級生に目を付けられて、暴力を振るわれる。上級生から「仲間みんな出てこい」なることを言われ、コペル君以外の仲間は出てきて、上級生の暴力を受ける。
コペル君は足がすくんで出れない…
鉄の誓いを破ってしまった…
もう仲間として一緒にいられないかも。
この暴力事件は冬の雪の降った日に起こり、そのあと寒空のなかに立ち竦んでいたコペル君は風邪をひいてしまい、2週間ほど寝込む。このまま病気になって学校に行けなくなって死んでしまいたいなることまで思い込む。
誰にでも、ああすればよかった。とかの過去の出来事はある。
でも、過去はもう戻らない。
言い訳を考えるコペル君。涙にくれるコペル君…
で、叔父さんに相談。いつもは優しい叔父さんからガツンと厳しいひとこと。
叔父さん:「約束を破ったのなら、絶交されてもしょうがない。手紙を書いて謝りなさい」
コペル君:「手紙を書いたら許してもらえるかな。」
叔父さん:「結果(絶交されるかも。)のことを考える前にまずは謝る。仲直りしたい気持ちはわかるけど、仲直りできないかもしれないし、仲直りできるかもしれない。絶交されたとしても文句は言えないってことはあなたにもわかっているはずだ。一度した約束を破ったんだから。」
叔父さん:「今回の出来事を単独でとらえたら、悲しいできごと、で終わる。でも、この出来事を単独で考えないで、次に生かしなさい。二度と同じ過ちを繰り返さないためにも。」
…その後コペル君は手紙を友達に書く。意気地がなかったこと。卑怯者と思われても仕方ないけれども、本当にすまなく思っていること等々書く。
…結果仲直り、で、実際のところお友達はそこまで深刻には考えておらず、なのだけど、わたしの身を振り返っても、見て見ぬふりみたいなのはこれまでも沢山あったし、たまに思い出すこともある。でも、その瞬間はスルー力が猛烈に働き、ここまで「だれかに嫌われたらどうしよう。絶交されたらどうしよう。」なんて考えたことは無かった。
今回のコペル君は一瞬友情を失ったかも、と思い自らの行いを悔い改める。
そして、きっとこれからも一度失ったものは戻せることもあるし、戻せないこともたくさんある。ということと対峙しながら生きていくのね…と思ったのであった。
貧乏な友人…
この本ではこのいじめ事件に対峙したことのほかに、貧乏な友達への接し方も書かれているのだけれど、豊かな生活ができている自分に感謝することと、決して貧乏な友達を蔑んじゃいけないこと。(これが感想文その1に書いたことにつながるのだけど、貧乏な友達は生産者の立場(お豆腐やの息子なので豆腐が作れる)で彼のおかげであなたはお豆腐を食べれたりするんだよ。お豆腐を消費するだけじゃなくって、あなただからこそできる生産的なこと(家の手伝いで忙しい彼に勉強を教えてあげたりとか)をするんだよ。みたいな話もあった。
ひとりじゃ生きられないんだよ。与えられつつ、与えつつ、
良き行いを積もう。思いやりを持とう。
当たり前のことを今更強く気づかせてくれた本であった。
本の本質には全く関係ない話…
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右…岩波文庫の「君たちはどう生きるか」
写真じゃわかりづらいかもなのですが、岩波文書、字のアリンコ度が高い…今回買った本以外はどうなのかはわからないのだけど(家に岩波文庫が一冊もなかった)字が他社の文庫本に比べて小さいと思われる…